2000.8.3(046)号
希望を抱き、恐怖に震え、畏怖にうたれる。究極の歓喜があり、耐えがたい絶望がある。サッカーという冒険には、人間のあらゆる感情が凝縮され、すべての営みが投影される。だから、刻まれた記憶は決して色褪せない。

栄冠は君に輝く - 速報!ロメオ・カップ2000

ぐらしゃす。打ち上げで飲み代は払ったか?

7月29日、コンサドーレ対レッズの厚別決戦、そして狸小路ナイトバーゲンに当てた草サッカー界のビッグイベント、ロメオ・カップ2000がついに開催された。

12時半の会場を待たずして世界中から続々集結する沢山のフーリガンたち。同時に、ここでテレビ・ハウス中継車が到着。全世界に向けて貴重な映像を紹介するために、テレビハウスライブラリー事業部最高責任者北山氏が自らカメラを廻した。もちろん、そこいらへんのハンディカムとは違うデジタル・ベーターカムD1収録だ。この収録映像を最高のパッケージビデオとして編集するべく現在、札幌ドームのCMを終えて2ヶ月遊びっぱなしニューエッジに懸命に交渉中だ。

厳しい地区予選予選を勝ち抜いて本大会出場を果たしたのは6カ国。
uhb北海道文化放送関連業者フットボールクラブ「トップクリエーション」、グラスウール札幌こと「GWSボンバー」、社団法人北海道栽培漁業振興公社総務部総務課大地蹴玉団「TERRA FC」、悲劇のバブル崩壊から奇跡の復活を遂げた最年長ベテランチーム「ホームレス」、JPCアンダーグラウンド&ニコ(仮名)こと「ジョッピンカル新札幌」(あれ?いつから逆に)そして開催国であるCM・TV映像関連事業者選抜
激弱フットボールクラブ「ジョッピンカル札幌」

12時30分、盛大なオープニングセレモニーを終えて、運命の組み合わせ抽選会。

    グループA
    TERRA FC-トップクリエーション-ホームレス
    グループB
    ジョッピンカル新札幌-GWSボンバー-ジョッピンカル新札幌

そう、ジョッピンカル札幌対ジョッピンカル新札幌の同門対決が公式戦初めて、実現したのである。想像しがたい人はユーゴスラビア対クロアチアよりも、若貴対決をイメージして欲しい。

各グループリーグは、総当たり戦。勝ち点(勝ち点3、引き分け1、得失点差、総得点の順)を競うユーロ2000形式、上位2カ国が決勝リーグへ駒を進めることができる。各チームとの怪我や仕事の事情、家族リクリエーションから寝坊までベストメンバーで望めたとは言い難いが、条件は五分と五分、運命のグループリーグは、同時間キックオフでホイッスルが鳴らされた。

おしの、まろりんたんが陣取る本部記者席がBコートにあったこともあって、ダイジェストでグループBをリポートする。

グループB、初戦のカードは、GWSボンバー対本家ジョッピンカル札幌。
過去の対戦では、GWSボンバーに勝ち星のないジョッピンカル札幌だが、今大会は開催国特権として6カ国の力の均衡を図るため、特別に
外国人枠の適用という特別ルールが許されることとなったのだ。今回、参加した外国人は、札幌リーグ5部の北都建材ヒーローズの3人のOB。もちろん現役選手でなく、今や若い選手に席を譲った一線を退いた名選手たちである。問題はチームとのコミニュケーション不足による連携の不安であったが、試合を繰り返す内に解消されることを期待した。
しかし、おなじみジョッピンカル。試合が始まった後にわさわさとレギュラーメンバーが集結。ハーフ終了で一気、6人を入れ替えざるを得なくなり、めまぐるしく代わるメンバーに連携の不安は悪化した。
こうして、0-1で初戦を落としたジョッピンカルだが、優勝候補のGWSボンバーに最小失点での負けは、3人の外国人が機能した証であろう。

続いて、GWSボンバー対ジョッピンカル新札幌。
そもそも新札幌の公式デビュー戦の相手が、5月13日、GWSボンバー戦だった。その時のスコアが2-7。どれだけ新札幌がチームとして成長してきたかをはかる絶好の機会だ。

まず、見た目が違う。

前回は、GWSボンバーのスペイン代表モデルに対して、ユニフォームさえ無かったが、やっと揃ったナイキ2000年オランダモデル。まるでスペインvsオランダ戦を観るような、マニアには応えられないノーガードの撃ち合いのような攻防が始まった。
この日の新札幌のフォーメーションも超攻撃的3-4-3。GWSボンバーに先制されるも追いつき、また引き離されても追加点。かつて本家ジョッピンカル札幌を不幸のどん底に落としたゴイスFCから
自前のユニフォームでやってきたあべじ率いるゴイス3バックが果敢に攻めあがる、4列目からの飛び出し、すなわちライン・オフェンスが機能。グループリーグのベストゲームという誉れ高い勝負は3-3のドローに終わった。

グループリーグ最終戦はいよいよ若貴対決、ジョッピンカル札幌対ジョッピンカル新札幌。

得失点差の都合、引き分けでも新札幌が、決勝リーグ勝ち上がりの計算である。札幌としては、2点差以上での勝利が必須条件である。緊迫した試合のホイッスルは吹かれた。
この日のジョッピンカル札幌の秘密兵器は、
北ヤスヨン38℃昨年の8/28以来のトップチーム昇格。この日のためにヤスヨンを、遙か環状線東から呼び寄せたのだ。
しかし、この日のために髪をオレンジに染めるほどの気合いの入ったヤスヨンだが、投入直前に「友人の結婚式があるから
帰るわ」と秘密兵器は秘密のままで終わってしまった。

運命のホイッスル。

開始直後、室蘭からドリブルでやってきたストライカー、新札幌ファントムがいきなり疑惑のPKをげっと!自ら思い切りゴール右上に叩き込み、新札幌、あっさり先制。
この日ゴールを守ったベテラン相川は「あれでやる気がなくなっちゃったんだよねえ」と試合後の打ち上げの席で、泥酔して5000円置いたまま
夜の歓楽街へ消えていった。

この日、都合上、新札幌の指揮をした榎木津礼二郎にとっては、知り尽くした本家札幌。この後も中盤を6人で制し、サイドチェンジを多用して振り回すという、本家札幌の弱点(あ、言ってしまった)をつきまくり、助っ人外国人に1点を許すも、4-1で、堂々Bグループ1位の座を手中にした

同時にAグループでは、試合巧者ホームレスに対してロスタイムに1点を決めたTERRA FCが、全勝でAグループ1位に名乗りを上げた。

    同時間キックオフの準決勝の組み合わせは、
    TERRA FC(Aグループ1位)vsGWSボンバー(Bグループ2位)
    ジョッピンカル新札幌(Bグループ1位)vsホームレス(Aグループ2位)

Aコート準決勝、TERRA FCvsGWSボンバーは力の拮抗した大会屈指の好カード。
GWSボンバーが先制するもTERRA FCが追いつき、時間切れ。勝負はロメオカップ
史上初のPK戦へともつれ込んだ。お互い5人が蹴っても決着はつかず、勝負はロメオカップ史上初のPK戦サドンデス。さらに、お互いプレッシャーの中ゴールを大きく外しあうも最後のキッカーでTERRA FCがこれを決めて、ロメオカップ史上初のPK戦サドンデス戦勝利をTERRA FCが手中に収めた。

Bコート準決勝は、ジョッピンカル新札幌vsホームレス。
本家札幌にとっては同じ広告業界筋ということもあって、いろいろ
仕事上のしがらみもあるホームレスだが、新札幌にとっては初顔合わせ。しかし、これまでの相手とは違ってホームレスはベテラン揃いのチーム。平均年齢は高くても試合巧者の為、これまでのようにはいかないと新札幌は気合いを引き締めた。
事実、これまでとは違った。ホームレスは完全にグループリーグで体力を消耗しきっており、声も切れ切れ。さすがベテラン、一日に3試合は過酷なのだ。Bコート準決勝は、2-0でジョッピンカル新札幌の勝利。

    そして決勝戦、TERRA FC-ジョッピンカル新札幌。

折しも降り出してきた細かい雨の為もあって、大半のサポーターたちがBコートに移動。予想に反して、Aコートの決勝戦よりBコートの最下位決定戦の方が盛り上がる始末になってしまった。さすが

さらに失敗は、これまで不動のフォーメーションで勝ちあがってきたにもかかわらず、新札幌の指揮をした榎木津礼二郎は、決勝に当たってフォーメーションを一部変更した。しかしそのフォーメーションは機能せず、TERRA FCが2点を先制。
かつて加藤久が言った
「いい時は、ちょすな」という名言が頭をよぎり、後半、元の形に戻したが、時遅く、1点を返すも追加点を許し、3-1でTERRA FCがロメオカップ史上初の優勝チームとして後生にその名を残すことになった。


ロメオ・カップ2000 優勝 大地蹴玉団「TERRA FC」

なお、大会得点王は4点をあげたジョッピンカル新札幌No:18ファントム。その他の公式記録はこちら。

今大会最大の問題は時間がタイト過ぎたこともあり、連戦による体力の疲労はピークに達してしまった事だ。決勝戦は両チームが、体力の消耗の為、ロングボールが多くなった展開になった事が悔やまれる。ロメオ・カップはこれからも延々、大会創始者である榎木津礼二郎氏がアルファロメオの延々と続く支払いを終えるまで繰り返されるが、白旗山競技場で行われるのも今年が最初で最後。ロメオ・カップ2001は、来年6月完成予定の札幌ドームHirobaで開催されるだろうから(希望)この点を考慮して、さらなる興行実績の拡大をはかりたい。

さて、そもそも、この大会を開催するに当たって4万円以上の赤字収入を闇チケットの乱売により解消しようとしたジョッピンカルフロントだが、打ち上げの席で苦学生や不良夫婦たちに6万円呑まれてしまい、さらに経営は火の車となった。そこでスポンサーとしてテレビハウス巣内社長から投資借り入れを受けざるを得なくなったのが実状だ。

そういうわけで借金返済まで正式クラブ名称は、三菱浦和レッドダイヤモンズのように冠付き、巣内ジョッピンカル札幌となってしまったのだ。

ロイタ一発・共同通信

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