1999.7.20(025)号
希望を抱き、恐怖に震え、畏怖にうたれる。究極の歓喜があり、耐えがたい絶望がある。サッカーという冒険には、人間のあらゆる感情が凝縮され、すべての営みが投影される。だから、刻まれた記憶は決して色褪せない。

三者三様の7.18 無頭の鷹 SCENE 01 text by - ヤスヨン 38°

榎木津礼二郎だ。やは。
本物かどうかは言えない。

季節労働者には稼ぎ時、もやし大人には日焼け時の夏、我がジョッピンカル札幌も例にもれず、休日といえば試合のスケジュールが立て込み、さながら北川久仁子(@AIR-G' GO.I.S)の営業バナナリラックスのゴロ合わせサービスかといった様相を呈している。しかも休日といっても休みではない。ジョッピンカルには日本国のルールは通用しないのだ。わかったらさっさと仕事をしろ、チャットなんかしてる暇はない。

7月18日は永遠のライバル(しかも仕事上の恨みつらみ有り)ことホームレスとの伝統の一戦。この際どっちが巨人でどっちが阪神なのかは抜きにしても、両者のこの試合にかける意気込みはすさまじく、当日試合の1時間前に会場入りした新加入・森井@オブラゴンは相当の時間を無駄に費やした。誰も来やしねえ。

昨年秋、ジョッピンカルをこてんぱんに叩きのめしまクリマクリスティ(去年の流行語)だったゴイスFCから、炎の移籍表明(鈴井監督にはナイショ)した背番号38°・登録名『MACHINEGUN』ことヤスヨンもこの日初参加となったが、榎木津の配慮により、ワンサイズ上のMサイズにしたゲームシャツでなんとかチームに紛れ込むことに成功。初対面にもかかわらず、立て続けに相当流暢な日本語をお話しになる光成@フラッグに、「お前先発!」と命令されたヤスヨンであったが、炎のキャプテン・ドゥンガに対する遠慮からか、はたまた光成の発言に信ぴょう性がないと判断したためか、ヤスヨンは南北和平のために力を出し惜しみした。

午後2時過ぎ、新人女優と、おしの、ヤスヨンなどが談笑しているうちに試合はスタート、誰が誰やらわからぬうちに先制ゴールを決めたのはホームレスの方だった。炎のキャプテン・ドゥンガの怒号が容赦なくモーニング新人・森井2号(仮名)にあびせられる。ジーコがアルシンドしか怒らなかったように、モーニング内の上下関係が物を言うのだろう。ちょっと何かミスをすれば、職場環境にまで影響を及ぼしかねない。そんなところにもフットボールのは潜んでいるのだ。

その後も立て続けにゴールを笑われ、、割られ、あっという間に4-0。前半だけでこのスコアはかなり厳しい。ハーフタイムにキャプテン・ドゥンガ斎藤から炎の目標が飛ぶ。「1点でいい。1点取ろう。前の試合はウチが勝っているのだから。」それを聞いた選手からは、次々に1点を取るための戦略が発せられる。現行の2トップでは攻撃に幅が出ない。よし、今日は10トップだ。キーパー、ちゃんと守れよ。そんなことを言い合うジョッピンカル戦士たちに、森井@オブラゴンの1バックをとり、楽勝ムード濃厚だった3-1のスコアを同点にされた前回の試合を思い出す輩はいない。

後半、自ゴール前を再三脅かされた森井1号2号の『森井波状守備』も功をそうさず、追加点を決められまくるジョッピンカル。もうダメだ!という窮地を救ったのはGINZOが放った一筋のシュートだった(アシストは誰かわからん )。やった!やったよ!キャプテン、1点取ったよ!などと喜ぶ間もなく、またすぐに猛攻をくらうジョッピンカル。ここまできてしまってはどうすることもできず、もはや体当りでのクリアしか残された道はなかった。(榎木津 注、得点はコーナーキックからのGINZOのヘディングです。)

キャプテン・ドゥンガ斎藤が自軍のペナルティエリア内で相手の足を挟み込んでPK。その後も144モデムでおなじみのOKUDA@最年長が、相手選手のユニフォームをつかみ、振り回したことによってまたもやPK。試合の行方に興味を失ったジョッピンドールズの面々は、真ん中から試合が再開されたことによって追加点を許したことに気が付くのだった。

終わってみれば7-1の歴史的大敗。後に残ったものは光成の靴ずれと、おしの、の日焼けだけ。雨をじっとこらえた灰色の空をにらみ、もう一度だけつぶやく。「前の試合はウチが勝っているのだから」。しかし、しょせん欲深き人間であるわが身。ジョッピンカルの負け試合ではなく、ナビスコカップ磐田vs柏で、最後に押し込んだ洪明甫の同点ゴールの方が100倍見たかった。

真夏のフットボール、太陽は勝者を称えるだけではなく、敗者の涙を乾かす力を持っている。

 

ロイタ一発・共同通信

目次に戻る それとも に戻るか?