電気用品安全法(通称PSE法)が、法施行猶予期間の5年を終え、4月1日から本格的に施行される。
安全基準を満たしたPSEマークがなければ販売できないのはもちろん、中古家電製品など販売も禁じるという。オークションでの個人取引も場合によっては事業者と認定され、最大罰金1億円という重大な経済犯並の刑罰が与えられるという。 PSEはBSEとまったく関係ないもののリサイクルショップの親父の脳をスポンジ状にするだろう。
まったく、なんで報道番組でこの話題がもっと取りざたされないのか不思議だ。
ミキティ萌えトリノとか武部が3000万貰ったとかよりよっぽど一般人に直接影響があるはずだ。つい、家電メーカーがスポンサーだからできないのかと疑ったり、ファンヒーター回収の無味無臭CMも後々PSE法の説明に有効だと、誰かが後押ししてたんじゃないのかとまで思ってしまう。
もともと、この法律はメーカーに対しての安全性の規制のためのもので中古品を含んではいなかった。
それが昨年11月、あるリサイクル店(ハードオフらしい)がPSE法を主導する経済産業省に再確認したところ、中古品も対象だと返答されたから今年になって大騒ぎになった。「PSE検査不合格品が中古品として市場に流通する恐れがあるから」
対象はおおざっぱに言えば、PESマークがついていない電源のついてるもの。
学習机も駄目なのはそこに蛍光灯が付いているからだという。何故かPCなど例外はあっても、うちのスタジオのほとんどの機材はもう資産価値ゼロだな。
ちなみに、電源部を外して売ればいいというわけでもない。
元はといえば規制緩和のための法案だったはずだが、施行猶予期間のこの5年の間に世相は変わった。リサイクルブームのおかげで、あちこちにリサイクルショップが増えた。もう眼をつぶれないと判断したのだろう。
確かに売りっぱなしのこれまでの販売側にも責任はある。
ただ、そのおかげで人々は安価に中古品を買うことができる。安全保障と安いのとどっちがいいか。まあ、安全で安いの、とみんな答えるだろうな。
そのために、例えば中古車なら車検制度があるように、抜け道も用意されている。
業者が自主検査してPSEマークを付ければ売っていいらしい。その責任の所在を、製造側だけ(これまではPL法でメーカー責任)でなく販売側にも持てという。
ただ、メーカーがそういう業者にきちんと修理用部品を提供するだろうか?
そして、果たして4月1日以降、PSE以前のコンセントプラグと以後のプラグを比べて、シール一枚違うだけで電気的にどんな違いが出るというのだろうか。おそらく変わるまい。
とにかく、よく簡単に「中古品も対象」なんて決めたもんだと呆れてしまう。
役人レベルでは、中古家電売買を必要とする一部の層にだけ何年か泣いてもらえば済むだろう程度に考えていたはずだ。間違いなく古い電子機器の中にはビンテージとして重宝されている価値があるものがあるというところまでは頭が廻らなかったはずだ。
今でもアナログレコードしかり、古い真空管アンプに執着するオーディオマニア層やミュージシャンレベルでも古いアンプやアナログシンセサイザーの類は信じられない高値で取引されている。それがもう売買できなくなるというから当然、各地で積極的にPSE法に対しての反対運動が始まっている。
■ 電気用品安全法の規制緩和を求める署名を坂本龍一さんらが募集
個人的には昔のモノのほうが音がいいとも思わないし、電源を入れても暖まるまでしばらくはチューニングが安定しないアナログシンセなんてもう触りたくもないが、自分も40~50年前のギターを集めてるくらいなんで気持ちは解る。ただし、こういうビンテージ物だけ眼をつぶればいいというわけではない、個人の所有物を急に禁制品にして規制するのがおかしい。かつて日本が本当にそんな事をやったのは、戦時中の鉄器没収くらいだ。
最も問題なのは中古品売買とかビンテージで音楽が聴けなくなるとかより、もっときちんと考えて国民の声を訊くべき事を簡単に法令に組み込んでしまう恐ろしさだ。
案外、一番混乱してるのは経済産業省ではないだろうか。
事実、経済産業省の役人が個人的?にネット上でPSE法についての窓口になろうとしたが、タイラーたちの逆襲にあって
という風に即、閉鎖された。上の人間の指示もあったのかもしれない。
(今でもアーカイブが覗けるが→ http://blogs.dion.ne.jp/tanimidori/archives/2846299.html)
メーカーに対して安全の指導をするのはいい。 それがたとえただのシール一枚でも。
今、起こっている騒ぎは中古販売の規制だ。中古販売がPSEの抜け道になる可能性があるというのなら、その部分だけ事例として取り締まればいいだけだ。
個人的には猶予期間の延長は無くても、このままで施行はありえない思ってる。
経済産業省のメンツの為だけに強行施行しても、せいぜい形だけの施行になるのではないか。もし、じーさんとばーさんで知らないでやってるような小さな質流れ店が摘発されても誰が非難するだろうか。
自分たちでさえこのままじゃまずいなと思っても、もはやシステムの中に組み込まれた役人たちではシステムを覆せない。かえって同情するばかりだ。
ただ、もっと目が点になるような案も控えている。
経済産業省「安全な家電」へ法改正検討。一定期間で作動しなくなる「タイムスタンプ」機能案。早ければ06年度中の改正を目指す。
もう、ほんと、経済産業省ったら。
幕末だったら天誅ものだ。
Posted by enokizu at 2006.2.22 | トラックバック