快楽弁天ネタだけど、個人で服のブローカーみたいなことをやってるガールフレンドから聞いた話。
ブローカーつても、個人売買みたいなもの。
それでも口コミは遠い所から見知らぬ客を連れてくる。メンズも扱ってないわけじゃないから、男性からの電話も珍しくない。ただし、注文の際に「サイズはなんでもいいんです」と答えた男に対しては彼女はおやっと思ったらしい。
「あの、ちょっと、話を聞いて貰ってもいいでしょうか?」電話をかけてきたその新しい客である男性が話辛そうに彼女に尋ねた。
「はぁ、どうぞ」この手や通信販売でしか買い物ができないコミュニケーションが苦手な男性のひとりかなと彼女は思った。
「私のような男性が婦人服を買うっていうのは、やっぱり変ですよね」と男は訊いた。人生相談なんかされても困るけど、電話だし、まあいいや。「いいえ、別に。プレゼントとかですか?」
少しの間沈黙、「いや、その、実は、個人的な趣味というか、なんというか、その、自分でする時に使うんです」
いったいどういう方法でマスターベーションしているのかは彼女には想像がつかなかったが、元来、男性不信の気がある彼女は、さしてそれを訊いてみる気にもならなかった。「はぁ、大変ですね」と答えるのが精一杯だったはずだ。
「やっぱり、私って変でしょうか?」彼女は身体の中がごっそり虚ろになるのを感じたが、男は彼女に何か言われるのを待っているような様子だった。いっそ激しく罵られる事を望んでいるのかもしれない。
「別に」
話はこれで終わりだというように彼女は強い口調で男に告げたが、男はその後も堰を切ったようにどんどん話し始めた。
要約すると、男がその自分の性癖に気がついたのは結婚して妻も子供もできた40代後半を過ぎてから。下着や網タイツみたいなものには何にも感じないが、サテン系の感触がこたえられなく、ワンピース(特に水玉模様)が最も気持ちが高揚するらしい。ひとしきり自分で話すだけ話して男は電話を切った。
その服飾オナニーが本当の話かどうかは解らない。
若い娘にそういう話を聞かせて反応を喜んでいるだけかもしれないからだ。
しかし話のニュアンスから、これがまるっきりの出鱈目とも思えないのだが。
「ねぇ、これって、どう思う?」と彼女は私に訊いた。
ただ僕は、彼にいい服があたればいいな、と思うだけだ。