先日、走行中、アルファ・ロメオ156のフロントグリルからモクモクと白煙が吹き出してきた。
何も驚く事はない、なんたってイタ車なのだ。
一般的に156は故障の無い車だ、と言われている。もう、まったく壊れない、と言い切ってもいいくらいだ。
僕もそう思う。ただし、「アルファロメオにしては」という定冠詞を忘れてはいけない。
日本の総代理店であるアレーゼの対応はお世辞にもよくない。
売りっぱなし、とまではいわない(実際、車を売った営業は会社を辞めてしまったが)が、マスターケアにかかっていないオーナーには冷たい。アルファロメオの場合、新車購入後も保証を延長していくことができるマスターケアというシステムがある。消耗品以外の不具合を無償修理してくれるものだ。ただし、年間20万。普通で考えれば延長する人はいないだろう。
これまでに小さな不具合は、エアバックの警告灯が点灯しっぱなしになった事。
まさか、走っている最中にエアバックが開くんじゃあないだろうな!と冷や冷やしたものの、異常が出た場合はエアバックは動作しないらしい。点検、修理をお願いしたところ、センサーの異常だったらしい。保証期間中だったので無償修理。
ところで、このエアバック、もしもの時はハンドルのカバーが割れて飛び出す仕組みになっている筈だが、156のハンドルの真ん中には陶器のようなアルファのエンブレムが埋まっている。こいつが綺麗に二つに割れるはずがないと思うのだが・・・そうなると、エアバックが運転者を守る前に、この七宝焼きみたいなエンブレムが額とかを直撃するのではないか?不安でしかたない。
同様にABSの警告灯が点灯しっぱなしになった事もある。
一度点灯すると点灯したままABSも効かないが、時折、消えることもある。その場合、効きすぎるくらいABSがかかりまくる。これもABSセンサーの不良だったらしい。
こういったコンピューター関連はイタ車にふさわしくない。オートエアコンだって怪しいもんだ。
現在乗っているのは右ハンドルの日本仕様車(スポーツサスとエアロパーツが標準装備される)だが、あの手の車は左ハンドル基本で組み立てられて、えいっとハンドル部分だけ右側へ持ってきているようなもん。(ウインカー、ワイパーは逆のまま)その為、電気系統のアセンブリは相当おっかない。日本国内で左ハンドルの車を選ぶのは見栄以外にも効能はあるのだろう。
センサー取り寄せ中。部品代8500円。
で、今回、白煙を吹き出しは、クーラント(冷却水)が洩れていて、それがエンジンの熱で蒸発していた。
問題はいったいどこから洩れているのかだ。
一応、メーカー、アレーゼBUBUのサービスフロントに電話する。
預かってみなければ解らないとの予想通りの返事だったが、問題は今は代車がない、との事だった。
こちとら、車がないのは困るので、代車がないのは困る。(本当はもう一台、小さな車を持ってるのだが)いったい、いつ頃、代車は戻ってくるのか?と訪ねると、いまのところ解らない、と言う。
さあ、ここでちょっと考えてみよう。
代車がいったい何台あるのか解らないが、そいつがいつ返ってくるのか解らないという事は、そこの点検修理の技術の不安定さを露呈しているようなものではないだろうか?実際に車を看てみないと故障内容は解らないというのは当然だ。しかし実際の仕事が決まってから、修理期間(金額)の見積もりがまったく予測できないと言うのはなんたるお粗末か?
どんな仕事でもそうだが、プロであればあるほど、正しい納期と金額を推測できるものである。もちろん、アクシデント対応まで含めた予測である。
そこで、過去、シトロエンBX時代に世話になった東日本自工というガレージに電話した。
ここのミワさんという人の職人芸は見事で、触る側からボロボロ崩れていく腐ったシトロエンのエンジンホースを切り刻んで繋げたり、合うレンチがなければその場で旋盤で削ったり・・・
この世にまだ技術というものが存在しているとすれば、もはやそれは、篠塚の守備とミワさんの職人技だけだ。
久しぶりに電話をすると、こちらも今、代車が出払って無い、との事。ただし明日の5時には戻ると。流石、こうでなくっちゃいけない。
翌日、アルファ156を持ち込み、白煙を吹き出したボンネットを開けてみせると、ミワさんはラジエーターだと、あっさり異常箇所を特定した。理由は簡単で「ここからクーラントの匂いがする」からだと言う。
その場でバラバラとラジエーター取り外し作業にかかる。
アルファロメオ156のラジエーターを外すのは相当大変らしい。バンパーからすべて外していかないと到達できないらしいのだ。まるでiBook(dual usb)のHD換装みたいだ。
ラジエーターを取り外した後は、ラジエーター専門の業者があってそちらに廻すらしい。そこらへんは餅は餅屋、結果的に早く、安くなるのだ。もちろん、丸ごと交換でよければその限りではないが。
バラした結果、ラジエーターコアの部分が腐っていたらしい。
いくらイタ車とはいえ、まだ一回も車検を受けていないような車の部品が腐るとは信じがたい。普通、こんなのクレームだと、ミワさん、アレーゼに電話をしてくれた。しかしアレーゼの対応は、前述の「ですから、マスターケアに入っていただかないと・・・」との事。
ちなみにラジエーターごと交換すると部品代だけで7万5千円。このラジエーター交換をメーカーに委託すると20万近くの修理代を取られかねない。実際、メルセデスだと50万はとられる。
しかし、今回は幸いにもラジエーターの専門業者に委託されていた。ただの自動車屋だと部品取り寄せのまるごとアッセンブリー交換のところを、ラジエーターそのものを一度、バラバラに分解して腐ったコアの部分だけを国産の合う部品と交換してくれた。
部品代
ホースバンド 460円
スモールパーツ一式 500円
工賃
フロントバンパー他、取り外し 9800円
ラジエーター取り外し、組み込み 9800円
ラジエーター分解、組み立て(実際の工賃) 40000円
合計 60560円
無事、3日で帰ってきたのだが、ブレーキパッドの交換をしたほうがよいと告げられる。
これはアルファだけでなく、あらゆる外国車がそうらしいが、ブレーキのパッド、ローターがどんな乗り方をしていても間違いなく3年程度ですり減ってしまうらしい。放っておくと足回り全体の交換に至ってしまう。
こればっかりは外車の性。外車の車検は高い、と世の中で言われているのは、パッド、ローター交換を車検時にする人も多いからである。
ラジエーター修理が安く済んだ分、パッド、ローターの部品を取り寄せてもらうように頼む。
車のメンテナンスに詳しい人は、毎回、交換しなくても削ったりして(工賃、1枚6000円程度)寿命を延ばしたりできるが、常に減り具合をチェックしていないと大事に至るので注意が必要だ。
このパッド、ローター交換、メーカー純正でなくても社外製品のほうが安く上がる。
フロントディスクパッド 12000円
リアディスクパッド 9800円
ローターはちょっと高い。
フロントディスクローター 32000円
リアディスクローター 15900円
運賃 2500円
スモールパーツ一式 500円
ディスクパッド交換工賃 9800円
ディスクローター交換工賃 9800円
合計 92300円
これまで、いつも不具合があると、同じような事例がないか検索して156オーナーのwebを参考にさせてもらっていた。この程度のデーターでも、いつか、見知らぬ誰かの役に立つことを望む。
ニューエッジの事務所が2Fに巣くう、宮の森スタジオには、他にもアルファロメオが並ぶ。
編集部、三上さんのジュリアはじめ、電通八木さんの黒の156、ジュリアジャパンの内藤くんのGTV、録音室、村上さんのGFのスパイダーと、駐車場に4台並ぶことも多い。20台程度の駐車場なんで、なんとアルファ率20パーセント。
今回のラジエーター交換についての話を上記の三上、内藤、両氏と話していたところ、不思議なことに気がついた。
「いやあ、ラジエーターのコア腐っちゃってさあ〜」
「あ、俺もエアコンのバルブ、腐ってた事があって、助手席の下側そっと触ったら、おもらししてるんだよね〜」
「俺なんか、ジュリアのエンジン直すのに、200万のマイカーローン組んじゃったよ〜」
と、文面だけ眺めていると、ごっそり憂鬱になりそうな話のはずなのだが、この三人、不思議と、一様に談笑している。
まるで、手が掛かる、若い娘に入れ込んでいるのを、まんざらでもない様に話しているかのように。
つづく。。。