壁掛けテレビへの憧れ

プロの映像屋ほど、自宅のテレビはちゃちだ。
音楽を生業としている人も自宅にはろくな音響設備がない。
一流のシェフが自宅で料理しないのと同じだ。

長年にわたって使ってきた名機プロフィールプロがあまりにくたびれてきたので、引っ越しのどさくさに買い換えを図った。まずはマーケティング・リサーチ。カタログスペックを見たって違いがさっぱり解らん。
映像は本職とはいえど、民生機にはまるでうとい、特に家庭用のデジタル機器は驚異、そんなもんだ。
プログレッシブくらいはわかっても、D1〜D4端子の違いが解る業界人はほとんど居ないだろう。

ここ最近流行はやはり、プラズマ液晶の大型テレビ。
この対価格性能比が果たして見合ったものなのだろうか。

個人的には、プラズマという固定画素デバイスのモニターが50年続いてきたブラウン管にとって変わるとはとても思えない。その証拠にソニーではプラズマや液晶を自社で生産していない。OEMだ。
その次の準備をしているのだろう。
よく言われているネックは、高いだけでなく、消費電力がでかい、ブラウン管テレビの倍。
プラズマ画素の寿命が短いこと。表現力のレンジが狭いこと。ブラウン管には到底敵わない。

つまり、プラズマディスプレイだから商品価値があるのでなく、単純にでかくて薄いから売れるだけ。

もう、ブラウン管のテレビを家庭で使うには限界がある。
4:3から16:9のテレビへの買い換えで同じ大きさの縦を求めるのなら、おおよそ7インチ半大きなサイズに買い換えなければならない。例えば28インチの4:3テレビを使っていたのなら、16:9で36インチ。
このあたり36〜37インチ以上のブラウン管のテレビは重さも大きさも暴力的。
家の中の一等地に半畳から一畳を占める。
薄いから高いのか?というのは間違いではない。
土地単価を考えてみたまえ。

結局「人はでかいテレビを欲しがる」という前提に基づいた商売である。
きっと景気が悪い時ほど、そういったストレートに解りやすいものが求められるのだろう。
家電売り場へ行ってみたまえ。
Higher than sun
憧れは太陽より高く。

まんまと乗せられたわけでない。
誰もが欲しいのは、画に描いた餅でなく、眼に見える確実な幸福感なのだ。
家族揃って家電売り場かよ、おめでてーな。
よーし、パパ、60インチ買っちゃうぞー。もう、みてらんない。
自分もそうなんだけどさ。

プラズマテレビを買おうとしてる人を否定しているわけではない。
スペックや将来性にこだわるなかれ。
年々確実に良い製品が安くなるに決まっている。
だから今の自分の使用目的にあって、いいと感じるものを買えばいい。

ただ売り場で実際に画面を見るとびっくりする。
画面が派手。
黒は塗りつぶしたように黒く、白はぶっ飛ぶくらい白く、赤は岡本太郎の赤より赤い。
店頭で映えるように工場出荷時にダイナミックな調整がされているのだろう。

プラズマテレビは真っ白から真っ黒までのレンジが狭いために表現力が荒くなる。そうなると深みのないベタっとした画になる(お、アニメならいいのか)から、ガンマをダイナミック(動的)にコントロールしたりする。開発者たちの知恵と勇気だ。
例えば暗いシーンならなにも真っ白から真っ黒まで全部使い切る必要がないので、その画のレンジに合わせたガンマカーブで細かく階調を表現してやればいいという罠。これが結構、綺麗に見えちゃう。
一見とても親切でありがたい機能なのだが、こういった擬似的な補正を終始かけまくらずにはいられないのが難点。

プロの現場でマスターモニタがプラズマや液晶である事は許されない。
僕にとって仕事で必要なモニターはテレビではない、測定器なのだ。
綺麗でない画は綺麗でないまま映し出してくれなければ困る。

商売あがったりじゃないか。

Posted by enokizu at 2003.1.27 | トラックバック
コメント
コメントする









名前、アドレスを登録しますか?

Check to Subscribe to this Comment:
コメントに返信があった場合メールで受け取る:







Top↑へ