1999.11.8(037)号
希望を抱き、恐怖に震え、畏怖にうたれる。究極の歓喜があり、耐えがたい絶望がある。サッカーという冒険には、人間のあらゆる感情が凝縮され、すべての営みが投影される。だから、刻まれた記憶は決して色褪せない。
幸福論、明日のためにうつべし 1999シーズン総括

いえす!サッカーは好きか?クラブへの愛はあるか?
リクレーションクラブ・ジョッピンカル札幌1999年を締めくくる最後の2連戦が11月7日、米里サッカーグラウンドで行われた。

対戦カードは、今年初めてサッカーを始めたという、お菓子のカルビーのみなさん「南郷ッズ」と一方、四半世紀に渡ってサッカーを続けている札幌リーグベテラン選手の選抜チーム。まさに頂点から底辺、ジョッピンカルの一年を推し量るには格好の相手だ。

穏やかな秋晴れのコンディションの中、早朝4連戦もくじけずに参加した上に最終節は、テレビハウスのコーヒーポットを盗んで駆けつけたひとりジョッピン・ドールズおしのや「僕がみんなのマスコットガールだ」といって憚るには態度のでかすぎる新人女優に見守られて今日もだらだらと始まった。

ハーフごとに対戦相手を入れ替える変速マッチ。最初の相手は初顔合わせのカルビーFC南郷ッズ、試合開始前、炎のキャプテン、ドゥンガ斉藤は「ジョッピンカル対カルビーさんはまずいんじゃないか?仕事のスポンサーだし」と異例の炎の気遣いを漏らしたが、フィールドは治外法権。一回り近い年下の若者が大先輩の緩慢なプレーを怒鳴り散らすことも、まかり通る厳しい下克上の世界だ。

情報によると大地蹴玉団TERRA FCに先週0-10で負けたとのこと。TERRA FCに0-6に負けたジョッピンカルなら4-0で自動的に勝てる計算だったのだが、始まってみると圧倒的な南郷ッズペース。押し込まれながらも守り、一発のカウンターをGパンが決めてスコア上1-0で折り返したが、内容的には前日の国立競技場カザフスタンの立場。逆転の予感に脅えた。

続いて、試金石、札幌リーグ選抜チーム戦。
もちろんかなうはずがないので、相手からメンバーを
ひとり落としてもらって10人対11人だ。それでも圧倒的な個人技の差を見せつけられ3点を奪われて前半終了。

次の南郷ッズ対リーグ選抜チームでは、ハプニングが起こった。ヘディングの競り合いで南郷ッズの選手が額を切り、意識はしっかりしているものの出血がひどいため、救急車で運ばれた。
選手退場につきメンバーが足りなくなった穴埋めの為、この日たまたま隣のコートで試合を終えていた大地蹴玉団TERRA FCのメンバーを
助っ人で投入。2人の助っ人を投入したのだが、主審にひとり多いことをあっさり気づかれ、退場。0-1のスコアでゲームは終わった。

続いてジョッピンカル対リーグ選抜チームの後半戦は、3連戦で疲れて弱らせた上に、後半はさらにもうひとり落としてもらって、つまり9人対11人で挑んだのだが、カウンターにより2点を許してくれたのもつかの間、5点を叩き込まれ通算2-8で見逃してもらった。

南郷ッズとの後半は0-0でなんとか逃げ切ったものの、この互いの低次元な力の拮抗は、よくぞ出会ったライバル同士、来シーズンの名勝負を予感させた。

こうしてジョッピンカルの1999公式戦は終了した。

ここでデーターにより今季を振り返り総括に入る。

1999通算成績は、7勝24敗5引き分け。
この数字から何が解るかというと、ジョッピンカルは今年は
36試合もした、というすぐれた興業実績である。(昨年は16試合)この試合数は、同じ札幌をホームタウンとするライバルチーム、コンサドーレ札幌の年間リーグ試合数と同数である。草のくせにすげえ。この興業数はおそらく北海道の草チームではナンバーワンであろう。

勝率1割9分4厘と夢の勝率2割にはあとわずか届かず、昨年をも下回るが、Jリーグの年間順位(11/7現在)に照らし合わせてみよう。

順位 チーム 勝点 引分

1or2 清水エスパルス 56 19 1 6
1or2 ジュビロ磐田 43 15 1 12
3 柏レイソル 52 18 1 8
4 ヴェルディ川崎 48 17 1 8
5 セレッソ大阪 47 17 0 9
6 サンフレッチェ広島 47 16 0 11
7 横浜F・マリノス 44 15 3 8
8 名古屋グランパスエイト 42 14 2 10
9 鹿島アントラーズ 31 11 1 14
10 ガンバ大阪 31 11 0 15
11 ヴィッセル神戸 29 9 4 13
12 京都パープルサンガ 29 10 0 16
13 アビスパ福岡 28 10 1 15
14 ジョッピンカル札幌 26 7 5 24
15 ジェフユナイテッド市原 22 8 2 16
16 浦和レッズ 19 5 4 17
17 ベルマーレ平塚 13 4 1 21

勝ち点26でどうにか、J2への降格はまぬがれそうだ。
次に今年も悩まされた得点力不足について見てみよう。2年連続で
得点王はボヤンこと北岡だ。

順位 名前 得点
所属クラブ

1 北岡@BOYAN 7
モーニング
2 斉藤@HIDE
藤川@
GINZO
5
モーニング
ニューエッジ
4 遠藤@END
奈良@
G-PAN
4
ニューエッジ
モーニング
6 森井@MORII
石井@CHAN
二木@NIKI
田井中@TAINAKA
3
アドビデオ
モーニング
テレビハウス
アドビデオ
10 奥田@OKUDA 2
フリーカメラマン
11 相川@I
梅内@DEKOPPACHI
久堀@KUBORI
1
モーニング
映像記録
映像記録

オウンゴール等 3

これを所属クラブ別に累計すると以下のようになる。

モーニング 20
ニューエッジ 9
アドビデオ 6
テレビハウス 3
映像記録 2
その他 5

中でも、スペイン代表にバスク人が多いのと同じように最多の8人が所属するモーニングの攻撃力が目立つ。しかしクラブ平均得点に押しならべてみると、ニューエッジの平均4.5点という破壊的な運の強さは目を引くところだ。

アングラ劇団員のようなチケットのノルマはないものの、来期のフラッグ、レバンなどのプレゼンにも不可欠な勝負強さを期待したい。

さて最後に今季のMVPと並ぶ、名誉ある新人賞(昨年は梅内)の選考がなされた。

今年は、中盤のダイナモ金城の香港逃亡にはじまり、新チームヘモグロビンの結成など、メンバーの流出が続いたが、ゴイスFCから電撃移籍してくれた森井@アドビデオ、キャプテンの炎のアドバイスの集中叩かれ役になってくれた森井@モーニング、ユニフォームコレクターという理由だけで登録し、草サッカーならではの色物先発出場を果たしたヤスヨンなど、厳選されたキャラクターが補充された。

しかし昨年と違う形で今年もっともチームに貢献してくれたのは、GK相川@モーニングだろう。

フィールドプレイヤーとしてもコーナーキックからのヘディングゴールで1得点をあげる活躍もあったが、今年はGKとして数々のピンチを防いでくれた守護神である。

ゴールキーパーというものはフットボールにおいて最も経験が必要とされるポジションである故に、私生活において成功と失敗を経験した ベテラン相川ならでは、である。
カウンターに弱いジョッピンカルが、彼の果敢な飛び出しのおかげで何点の失点を免れたのかは正確にはわからない。しかし彼がゴールを守ってくれたおかげでジョッピンカルの今季の総失点は
103点に押さえられたのだ。あと5点取られていたら煩悩の数、百八、になるところだった。ありがとう相川さん、103点に押さえてくれて!

さて、今後のスケジュールだが、12月から一旦古巣ジョッピンドームにこもり、サロンフットボールに興じたい。これは、リクレーションの一環としてメンバー以外の参加も広く公募して、7対7程度のミニリーグ戦を予定している。
今年、出会ったいくつかのチームにも声を掛けるほか、HPを見ての一般参加も可能にしたい。チームの枠を越えた混合チームもあるかもしれない。

ジョッピンカル札幌とは、そういうリクエーションサービス団体なのだ。

ロイタ一発・共同通信

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