2001.4.9(050)号
希望を抱き、恐怖に震え、畏怖にうたれる。究極の歓喜があり、耐えがたい絶望がある。サッカーという冒険には、人間のあらゆる感情が凝縮され、すべての営みが投影される。だから、刻まれた記憶は決して色褪せない。

札幌ジョッピンカル1969 - 第50回記念。フットボールに鉄板はない。

路上で発狂し、キリストとなって死んでいったニーチェよ、ピース!
メスカリンの幻覚の中で「嘔吐」を書いたサルトルよ、ラ−ブ!

2001年、草サッカーシーズン開幕だ!

ただし草でなく、人工芝、札幌市スポーツ交流施設つどーむ、屋内全面借り切りだ。

この場所は、かのスマップも公演した由緒あるところ、その意味に於いては、すでにジョッピンカルの興業レベルはジャニーズ並みといえる。いざ!いざ!

恒例の(といっても2年目)開幕戦はもちろん、負けたチームが会場利用料を払う情け容赦無しのストーンマッチ。お〜け〜、懐の準備も万全(後述)だ。

対戦相手は、おなじみ大地蹴玉団ことTERRA FC。チーム創立3年目を迎え個人技に加え、組織力も際だってきた好チーム。昨年は本家ジョッピンカル札幌が検討むなしく0-10の僅差で惜敗
今年は昨年立ち上げた新チーム、新札幌ジョッピンカル1969(いつからそんな名前に?)で挑戦だ!

開幕戦に臨んで榎木津礼二郎代表は、ワールドサッカーウイニングイレブン5 で新しいフォーメーションをシュミレーション、栄えある開幕戦先発メンバーを思案した。
一番の問題は、アメリカへ留学した昨年の得点王、ソウの穴をどう埋めるかだ。(想像しがたい人は今期、エメルソンを失ったコンサドーレ札幌をイメエジしてください。)
かのトルシエ日本代表がそうであるように、ジョッピンカルに於いて指定席のレギュラーポジションは無い。
上手い選手ならそれでいいという訳じゃないからだ。なにしろ毎回、来るか来ないか解らないやつらばかりなのだ。それが
なにも毎回必ず来てくれるメンバーでは軸になる選手になれないと言っているわけじゃあないからね。

今期、栄えある開幕戦のセンターフォワードに選んだのは、今年卒業して現役高校生草リーガーから現役ぷーたろー草リーガーに成り下がったNo:12ミチヒロ。

草サッカー(小学生のサッカーも特にそうなのだが)において、一般的に技術の上手い順に前から並べる、という風潮が世の中にあるようだ。これにジョッピンカルは強く反発する。
いくら勝ちたいからといっても、守備より攻撃のほうがやっぱり楽しいわけで、リクリエーションサッカーであるのなら分け隔てなくポジションを持ち回りさせる、それがジョッピンカルの理念である。

ただし、映像業界筋で構成される本家ジョッピンカルに於いては、業界の力関係もあって、前から歳の順に並んでいる。40代のベテランの域に達して初めてFWのレギュラーポジションが約束されるのだ。

だが、しかし実際、本家ジョッピンカルの最大の弱点は決定力だ。
たとえ運良く前線に素晴らしいパスを通しても、絶好のセンタリングを放り込んでも、それを最後にゴールネットに押し込むことができない。
開幕戦のセンターフォワードに選んだのは、No:12ミチヒロ。
「18歳。ミチヒロも。iモード。」のNa録音に協力して貰ったからではない、一番キックが上手だからだ。
4年もやってきてやっと気がついたよ。

中盤の先発は右からトントン-エビラ-ロベルト(知らない人のために。一応、全部、日本人です)
最終ラインは、朝4時に仕事を終えてそのままやってきたNo4:デコッパチを中心に昨年の変形3-4-3から変えて、4-3-3の4バック。2バックという意味あいのセレソンスタイルの4バックでなくTERRAのサイド攻撃に備えるためのベンゲル型4バックだ。
いつも強い方の味方をする今日もTERRAのユニフォームを着たNo:77 タケにして「おお、なんか強そうだ〜」と言わしめた魅力的な先発布陣だ。あったりまえじゃん、負け金、誰が立て替えて支払うと思っているのだ。

試合開始。

冬の間もフットサルに励んで来たTERRAに比べて、冬の間は炬燵で丸くなっていただけのジョッピンカルの身体は重く、キーパー相川へのバックパスのミスから、あっという間に失点。

新札幌の現在の課題はコミュニケーション不足だ。一般公募でもともと面識や繋がりのないいわば移民のチームであるだけに言葉の問題(ため口聞いていいのだろうか?とか)もあって、フィールド上で激しく声を出す強いキャプテンシーが不在なのだ。
いつも一番うるさいNo77:タケは今日は相手チーム、No3:アベジは娘の入園式というのっぴきならない事情の中、経験と重心の低さからNo15:エビラにそれを期待しても口の中にスナック菓子をほおばりすぎて声も出せない。
問うてみたい、早朝からキャラメルコーンをそんなに食べるのはいかがなものか?

その後も新しいフォーメーションに慣れず、左右に大きく開いてしまい、スペースをつかれて追加点、そして前半終了。

ハーフタイムに建て直しを図った榎木津に加藤久の言葉が頭をよぎった「いい時は、ちょすな!」(東北弁)フォーメーションを昨年同様に戻すのだ!今期の広島戦でシステムを変更して負けたコンサドーレやフォーメーションを動かしすぎる今期のベルディに比べれば、わずか前半でそれに気づいた榎木津の采配は岡田&松木以上といえるだろう。
0-2とはいえ1点はあきらかにミスによる失点だから実質0-1(でも0-2)まだ、大丈夫だ。

しかし交代メンバーの選定にベンチに眼をくべた榎木津が見たものは悪夢のような風景だった。

No4:デコッパチが自らゴールキーパーユニフォームに着替え初めているではないか!

南米サッカーをこよなく愛し、カンポスを敬愛するデコッパチのゴールキーピングには、昨年もロメオカップでのゴールマウスの中に入ってのハイボールキャッチや、自軍の攻撃中は隠れて煙草を吸うなど数々の伝説が残されているが、頼みの相川はすでにふかふかの人工芝に横になって行ってらっしゃいとベテラン振りを見せつけるだけであった。

若干のメンバーを入れ替え、昨年までのフォーメーションに戻して、後半、運命のキックオフ。
実質0-1(でも0-2)なら、これ以上失点さえしなければまだ勝機はある、そう思ったときにTERRA FCのペナルティエリア外からのロングシュート!
「これは外れる!」そうデコッパチが判断した瞬間、ボールはゴールポストに弾かれたが、後ろを振り返ったデコッパチのお腹に当たって跳ね返ってゴールイン。

それでも後半FWとして投入した新メンバー、アメリカ帰りのケイが今は亡きソウ並みの活躍を演じてくれ1点は返したものの1-5で試合終了。

しかし案ずる無かれ。0-5でフランスに大敗したトルシエ・ジャパンに比べれば、一矢報いただけでも、チーム状態はフル代表以上の仕上がりと言えるだろう。
本格的なオープングランド開幕はGW明けになる。それまではもうしばらく炬燵で丸くなろう。

試合終了後、榎木津代表は、ストーンマッチの負け金を気持ちよく支払った。
ふっふっふ、へっちゃらさ。今年は用意万端、今回のサッカーくじ、totoで取り戻すべきダブル6に6400円も投入してあったのさ。結果は2つ外したものの3等

しかし、今回の順当すぎる結果に3等配当、370円と聞いて、昨年の0-10以上の大敗以上に激しく打ちひしがれるのであった。

ロイタ一発・共同通信

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