2000.6.22(044)号
希望を抱き、恐怖に震え、畏怖にうたれる。究極の歓喜があり、耐えがたい絶望がある。サッカーという冒険には、人間のあらゆる感情が凝縮され、すべての営みが投影される。だから、刻まれた記憶は決して色褪せない。

それをつくれば彼は来る。 - 激戦!ロメオカップ最終予選!

札幌草サッカー界、夢の祭典、ロメオ・カップ2000が、7月29日、白旗山競技場で開催されることが決定した。

予選組み合わせ抽選会、エキシビションマッチ、総当たりで勝ち点を競う激しいグループリーグから三位決定戦、決勝まで、白旗山競技場を全面借り切って世界中から参戦する名だたる強豪チームがぶつかり合う。

現在、とんでん杯グループリーグ優勝のGWSボンバーはもちろん、歴代のインターポンチネンタルカップの優勝チームにもオファー確認中である。詳細は追って特設ページにて紹介するつもりだ。

その本戦への切符を争うゴッサム地区最終予選が6月17日、白旗山競技場で行われた。

長きにわたった厳しい予選もいよいよ大詰め。最終戦は、外人部隊ジョッピンカル新札幌ことJPCアンダーグラウンド&ニコ(仮名、そろそろいい名前をつけてくれ)対するのは毎度ご贔屓の大地蹴玉団ことTERRA FC。

共に全勝で勝ち進み、このゲームに勝った方が文句無しに本戦への切符を手中に収めることができる。しかし、この試合にはロメオ・カップへの出場権を得るという以外にも隠された因縁があった。

ご存じの通り、本家ジョッピンカル札幌はTERRA FCに対して、これまで通算0勝4敗1引き分けと圧倒的に分が悪い(想像しがたい人はオフト監督以前の日本-韓国戦をいめえじしてください。)
しかし新札幌ことJPCアンダーグラウンド&ニコ(仮名)は、去る5月21日、故ジャンボ鶴田を忍んだとんでん杯グループAで
奇跡の逆転勝利を得ているのだ。(想像しがたい人は、アトランタ五輪、オレンジボウウルでのマイナミの奇跡を想像していただきたい。ついでにその後のナイキワールドツアーでぼこぼこにされるのも。)

TERRA FCの今期の対戦成績をご覧になれば解るとおり、たとえ初顔合わせで、じょっぴん系のチームだという事で油断していたとしても、無敵艦隊TERRAに唯一黒星をつけたのが新札幌なのである。ただで済むわけが無い。

フィールドは異様な興奮に包まれ、白旗山競技場に集まった両チームのフーリガンたちは試合前から激しく衝突した。

試合直前のミーティングで競馬好き高校生シュウは、じょっぴん関係、榎木津礼二郎代表に、4-6-1のフォーメーションで行きたい、と申し出た。おーけー、いいぞ、ひとり多いじゃねーか。

攻撃的トライアングルに、キン-ソウ-シュウ、そして一週間前に来日合流したばかりの室蘭から来た(札幌の草サッカー界に於いては室蘭出身はブラジル出身と同義語)ドリブラー工藤(彼女が可愛い)を絡めた攻撃的布陣で望んだ。

中盤に対しては、相手のトップ下の球の出所であるTERRA FC 77竹内をケアするように、と、この日初めてのスタメンとなった、とりあえず高橋(へんな登録名だと思う人は、そのまんま東、とかを想像して欲しい)の小柄ながら抜群の運動量に期待した。

もちろん敵にも味方にも危険な男、TERRA FC 8噴火湾助三郎(想像しがたい人は、壊れたミヤトビッチを)には、光成の反則ギリギリをはるかに越えたパンツの中に手を入れる無料サービス・マンマークで応戦だ。

キックオフから一進一退の好ゲームも前半半ば、アクシデント発生!

新札幌のベルカンプ、キンが足を吊って途中退場を余儀なくされた。代わって破壊的運の強さを買って切り札として温存していたシバタを投入したものの、ベンチに戻るキンの姿に、メンバーたちは帰りの車は誰が運転してくれるんだ?と一瞬、集中が途切れた。

そこを見逃さず前半終了間際、ゴール前の混戦に激しい得点の刺激臭、TERRA FCが均衡を破り先制。

さっそく修正が必要なのは明らかであったが、ベンチは動かなかった。時間も時間なだけに、このまま0-1で折り返せばいい、ゲーム中にフォーメーションを変える方が危険だと判断したのだった。

しかし、この日の主審-副審の連携にミスが起こっていたのだ。時間の確認がなされぬまま延々10分以上も前半が続けられ、あれよあれよと追加点が3点も入りまくられてしまったのだ。

いったいその間、フロントサイドでは何をしていたか?

もうひとつの戦い、激しい議論が投げ交わされている最中であったのだ。

それは、新札幌の今日の攻撃陣、キン-ソウ-シュウ-工藤の事だ。

字面を見れば一目瞭然のように、キン-ソウ-シュウとどこの国人か解らない名前に対して、工藤の呼び方は不自然すぎる。さっそくポン、ナム、パク、チーなどの呼称を議論されたが、これといった修正ができず、名称未定という爆弾を抱えたまま後半を迎えたのだ。

後半もTERRA FCの怒濤の攻撃。なんとか凌ぎながら、その間に退場したキンの足吊りの回復を待つ。行けるな、よおし、もう一回そお〜っと投入しちゃえ。だって草サッカーだもん。

そしてなんとかカウンターからソウの凄げえ(マジ)ドライブシュートで一点を返したが、試合は1-4で終了。戦前の予想通り、圧倒的な強さでTERRA FCが本戦への出場権を獲得した。

さて、翌週、ロメオ・カップ2000を控えた期待と興奮で喚起に沸くゴッサムシテイを、大物選手の電撃移籍のニュースが震撼させた。その一報を聴いたフロントサイドの光成は、報告を制して言った。

「わかったぞ、言うなよ。ベベットだろう!」

その真偽は、次号で明らかになるのだ。

ロイタ一発・共同通信

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